中年以降に要注意な「大人虫歯」とは
子供の虫歯と違う、大人虫歯とは
まず、虫歯のイメージとして、「穴があいて、痛い」ということが挙げられるでしょう。そのため、穴があいたり、痛みを感じたら歯医者に行こうと思っている人もいるかと思います。しかし、このイメージはどんな虫歯に当てはまるとは言い切れません。特に大人に起こりがちな「大人虫歯」に関しては、このイメージが当てはまらないことも多いのです。
子供の虫歯
子供の虫歯や若年者の虫歯に関しては、穴があく、痛みが出るというようなパターンで起こります。もちろん、穴が見えにくい箇所にできる場合もありますし、歯が極端に軟らかくなっている状態で、「穴」の状態になっていないこともありますが、軟らかくなった歯は、もはや正常な歯の状態ではありませんので、穴があいているのと同然です。このような「穴があいて痛い」というような虫歯が、私たちが普段イメージしている「虫歯」のイメージになっているかと思われます。一般的に子供や若年者の虫歯は、急速に進行する「急性う蝕」です。
<好発部位>
子供虫歯で特に多いのが、奥歯の溝からできる虫歯です。このような虫歯は、奥歯の深い溝に食べカスが残ったり、歯ブラシできちんと磨けていないことが原因で起こります。乳歯や、生えたての永久歯は歯の質が弱いため、汚れが溜まりやすい歯の溝は虫歯になりやすいのです。
大人虫歯
大人になると、歯の溝からできるような虫歯にはかかりにくくなってきます。そのため、一見、大人は虫歯にかかりにくいように思えてしまいます。しかし、その代わり、違うタイプの虫歯が増えてきます。大人の虫歯はできやすい場所が子供の虫歯と異なるのに加え、進行の仕方もゆっくりで、痛みを起こしづらい「慢性う蝕」であることがほとんどです。また、見えづらい位置にできることも多いため、自分で非常に気づきにくいという特徴があります。
<好発部位>
大人になってできやすくなる虫歯として、まず、かつて治療した場所から虫歯が再発する「二次カリエス」が挙げられます。治療して人工物を詰めた部分というのは、治療する材質にもよりますが、年数が経つにつれて劣化し、歯を守りきれなくなってきます。こうやって詰め物・被せ物と歯の間からできてしまう虫歯を二次カリエスと呼んでいます。セラミックの場合には、材質が非常に劣化しにくいため、二次カリエスが起こりにくいですが、保険の銀歯の場合にはどうしても経年的に劣化をしてしまうため、注意が必要になります。
大人虫歯としてはもう一種類挙げられます。それは歯と歯茎の間部分にできる「根面う蝕」と呼ばれる虫歯です。根面う蝕は、加齢や歯周病で歯茎が下がり、それによって露出した歯根の表面に虫歯ができてしまうものを言います。歯根というのは、もともと歯茎から出ている「歯冠」に比べ、非常に虫歯に対する抵抗性が弱くなっています。それはなぜかというと、歯の表面に歯冠のような頑丈なエナメル質が存在しないからです。
大人虫歯にかかりやすい人
大人虫歯にかかりやすい人とはどのような人なのか、見ていきましょう。
虫歯治療痕が多い人
虫歯治療した箇所が多い人は、詰め物や被せ物の境目や、内部に虫歯が起こりやすいため注意が必要です。
歯茎が下がってきている人
歯周病にかかっていて歯茎が下がっている、また、歯磨きの力が強い人も注意が必要です。歯磨きの力が強すぎると、歯茎を傷め、歯茎が下がりやすくなります。
歯ぎしり、食いしばりの癖がある人
歯ぎしりや食いしばりの癖がある人は、歯に強い力がかかり続けることにより、その圧力で歯と歯茎の境目部分が壊れてしまい、くぼみができてその部分から虫歯にかかりやすくなります。
口の中が乾燥気味な人
加齢によって唾液の分泌は落ちてきますが、それ以外にも、薬の副作用や、喫煙、糖尿病のようなものが原因でお口の乾燥が引き起こされます。口の中が乾燥すると、唾液の虫歯予防効果が十分に発揮されないため、非常に虫歯にかかりやすい環境になってしまいます。
間食が多い人
間食が多い、砂糖入りの飲み物を飲むことが多い、夜食を摂ることが多い、というような人は虫歯の原因となるプラークがたまりやすくなるため、虫歯のリスクが大きく高まります。
お酒を飲むことが多い人
お酒を飲むことが多い人、特に晩酌をすることが多い人は、アルコールの利尿作用により、お口の中が乾燥しがちになり、虫歯リスクが高まります。また、お酒と一緒におつまみを食べる、歯磨きをしないで眠ってしまう、というようなことも加わって、より虫歯にかかるリスクが高まります。
大人虫歯を防ぐ、もしくは早期発見をするためには、定期的に歯科で診てもらうこと、そして、健康的な生活を送ることが大切です。ぜひ参考にしてみてください。
